実施設計・施工一体の「石巻型アットリスクCM方式」
全国で水揚量3位を誇った宮城県石巻市。この水産都市で中核を担う旧石巻魚市場や周辺の水産加工団地は、東日本大震災により壊滅的な被害を受けました。
このため石巻市の水産業の復興・飛躍を目指して、鹿島は実施設計と施工を一体で請け負う「石巻型アットリスクCM方式」により「石巻魚市場」の再建を進めてきました。2014年8月には施設一部が先行して稼働し、2015年8月に全棟が完成し引渡しを行いました。
石巻市水産物地方卸売市場石巻売場建設事業
- 事業者
- 石巻市
- 基本設計
- 一般社団法人 漁港漁場漁村総合研究所
- CMR(コンストラクション・マネージャー)
- 鹿島
- 実施設計・監理
- 横河建築設計事務所
- 事業期間
- 2013年8月23日~2016年3月25日
- 建物用途
- 卸売市場、駐車場
- 構造・階数
- S造、一部4階建て
- 延床面積
- 50,536m2
国内最大級の魚市場を建設
新しい「石巻魚市場」は、国内のみならず海外への輸出も視野に入れた漁獲物の付加価値向上を実現する「高度衛生管理型施設」として生まれ変わります。工事では、屋根付きの岸壁を備えた閉鎖式の高度衛生管理型の荷さばき場を、漁業種別毎に「東棟」「西棟」「中央棟」の3棟建設します。3棟を合わせた上屋根の長さは約880mで、従来の1.4倍の規模となり、国内最大級の魚市場となります。
荷さばき施設は、漁業種別毎に「陸揚げエリア」「選別エリア」「陳列・販売エリア」「出荷エリア」に分かれ、荷さばきの各工程が管理されます。水産庁が策定する漁港における衛生管理の評価基準は最高のレベル3となります。
国内公共建築工事は初、「アットリスクCM方式」を導入
10年かかるとされていた建設事業をわずか3年で完成させるため、民間の高い技術力・施工能力を早い段階から活用する「アットリスクCM方式」が導入されました。
「アットリスクCM方式」では、ゼネコンをCMR(※)(コンストラクション・マネージャー)としている点が他のCM方式とは異なり、国内の公共建築工事では初採用となります。従来の設計施工と類似していますが、特別条件として「オープンブック(原価開示)方式」と「専門工事業者の選定承諾」「周辺関連工事との調整業務」を行うことが求められ、「石巻型アットリスクCM方式」と呼ばれています。
鹿島はCMRとして、調達・施工前段階において横河建築設計事務所に実施設計業務を発注。実施設計と施工の一貫体制および周辺関連工事との調整を同時に行うことで工事を効率的に進めています。
(※)CM方式:発注者の補助者・代行者であるCMR(コンストラクション・マネージャー)が、技術的な中立性を保ちつつ発注者の側に立って、設計の検討や工事発注方式の検討、工程管理、コスト管理などの各種マネジメント業務の全部又は一部を行うもの。(国土交通省CM方式活用ガイドラインより)
関連情報
工事の様子
2015年8月
2015年2月には西棟が完成し、魚市場は完成・引渡した部分から随時稼働を開始してきましたが、2015年8月には全ての棟が完成しました。
全景
完成
Column 「完成式典」開催
2015年9月26日、新しい「石巻魚市場」の完成式典が開催され、多数の関係者が参列し、神事やテープカットなどが盛大に行われ完成を祝いました。
2014年12月
工事では、東棟、西棟、中央棟の3棟を5工区に分割して施工します。2014年8月には東棟と中央棟の1工区が完成し、魚市場を稼働しながらの施工を続けています。
全景
完成
施工中
Column 「いしのまき大漁まつり」開催
2014年10月19日、新たに稼働をはじめている石巻魚市場において、「いしのまき大漁まつり」が開催されました。このまつりは今年で25回目を迎える、石巻市を代表する一大イベントで、震災後初めて魚市場を会場に行われました。58ブースが出店し、新鮮な魚介類や水産加工品が販売された他、鮮魚の模擬競りやサンバ隊パレードなど様々なイベントが催され、大勢の市民、観光客で賑わいました。