旧・警戒区域で初の本格除染を無事完了
福島第一原子力発電所の事故による除染について、鹿島はモデル実証事業に参画し、田村市、富岡町、葛尾村で高線量地域における安全かつ、効率的な除染方法の実証試験を行いました。その後、田村市の本格除染工事を引き続き行いました。田村市は旧・警戒区域で初となる本格除染となりましたが、山手線の内側とほぼ同じ面積の除染工事を無事完了しました。
田村市本格除染工事
- 発注者
- 環境省
- 施工者
- 鹿島・三井住友・日立プラントテクノロジー
特定建設工事共同企業体 - 対象区域
- 福島県田村市都路町字古道の生活圏及び
林縁部から森林側に20m入った部分 - 工事数量
- 住宅:176,936m2、道路:294,737m2、
農地:143.10ha、森林:192.15ha - 作業員数
- 延べ約12万人(1日あたり最大約1,300人)
- 工期
- 2012年7月~2013年6月
住宅の除染から田畑・森林・道路まで幅広い除染作業
除染作業は、住宅においては屋根・壁の洗浄、拭き取り、軒樋の拭き取り等を丁寧に行い、農地での草刈りをはじめ、森林では表層の剥ぎ取りや枯葉・堆積物の除去、道路では、新たに開発した高圧道路除染車などを活用して効率的に除染を行いました。一日あたり1,300人もの作業員が除染作業に当たり、延べ人数は約12万人に及びました。
森林地域では作業員が20~30人のチームで急峻な山林に分け入り、下草刈りや堆積物の除去を行いました。
道路高圧除染車の開発
道路の除染は人力による高圧洗浄が基本とされていましたが、作業効率が悪く、また、洗浄水が周囲に散らばるため二次汚染の懸念もあります。そこで、鹿島と鹿島道路は、もともとは排水性舗装の機能を回復するための車両を改良し、道路除染を効率的かつ安全に行うことのできる車両を開発しました。
道路の高圧水洗浄で基本となっている洗浄水の圧力15MPaに対応するため、高水圧化(最大20Mpa)することと、除染効果を改善するため、ノズルを旋回式に変更するなどの大幅な改良を行いました。また洗浄水もブロアで吸引するため、二次汚染を防ぐことができます。こうした改造により、人力に比べ、施工効率は約10倍(3,500m2/日)と飛躍的に向上しています。田村市の本格除染に適用し、国道・市道の道路除染を効率的に且つムラ無く施工することが出来ました。