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UHPFRCによる道路橋床版の打替え・補強工法

超高性能繊維補強セメント系複合材料を用いた
コンクリート床版と鋼床版、双方に効果的なリニューアル工法

高度経済成長期に完成した道路橋の老朽化が進み、特に、床版の補修・補強は喫緊の課題となっています。これまで、交通荷重による疲労や凍結防止剤散布による塩害等で劣化した道路橋のコンクリート床版は、アスファルト舗装をはがし床版上面の一部を撤去して鋼繊維補強コンクリートで増厚する補修が行われてきました。しかし、この従来工法では早期に再劣化の生じる事例が散見されていることに加え、構造上、床版を撤去・取替えできない形式の橋梁もあることから、耐久性に優れる新しい補修・補強工法が求められていました。また、鋼床版についても交通荷重の累積により疲労亀裂が顕在化している事例があり、従来の増厚補強では路面が高くなり、段差を擦り付ける工事が必要となる場合がありました。

本工法は、老朽化した床版上面の一部を撤去し、超高性能繊維補強セメント系複合材料(UHPFRC)で打ち替えることによって、薄層での補修・補強でありながら高耐久な床版を構築するものです。本工法は中日本高速道路株式会社との共同開発です。

本工法については、長野自動車道(特定更新等)岡谷高架橋改良工事(平成30年度)における現場施工で本格的に導入し、高速道路を通行止めすることなく大規模リニューアルを実施することができました。

Ultra High Performance Fiber Reinforced cement-based Composites
:圧縮強度が150N/mm2以上で極めて緻密なセメント系材料を多量の鋼繊維で補強したもの

令和6年度土木学会 技術開発賞
特許登録済

図版:UHPFRCによる道路橋床版の打替え(岡谷高架橋改良工事)

UHPFRCによる道路橋床版の打替え(岡谷高架橋改良工事)

図版:UHPFRCの打込み状況

UHPFRCの打込み状況

キーワード
超高性能繊維補強セメント系複合材料(UHPFRC)、大規模更新・修繕技術、床版打替え・補強工法、
ライフサイクルコスト低減、1車線規制下での施工
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本工法の概要

本工法は、コンクリートの劣化部を除去し、UHPFRCを打ち込んで一体化させます。舗装を含めた厚さを現況と変えることなく、床版の耐荷力や耐久性を高めるものです。

また、橋梁上部構造の重量がほとんど変わらないため、下部構造の補強を最小限に抑えることができます。

図版:本工法の断面模型(コンクリート床版)

本工法の断面模型(コンクリート床版)

コンクリート中空床版橋でのイメージ

鋼床版橋でのイメージ

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施工の流れ

岡谷高架橋改良工事での実適用を例に、施工の流れを示します。

新たに開発した専用の自走式運搬機械により、1車線規制下の狭隘な作業エリアにおいても施工が可能となり、450m2(延長128m)の打込みを約8時間で完了させました。

①アスファルト舗装の撤去とコンクリート床版の切削

アスファルト舗装を切削機によって撤去し、劣化したコンクリートの表層をウォータージェットで取り除きます。

ウォータージェットによる床版の劣化部の除去

ウォータージェットによる床版の劣化部の除去

②UHPFRCの製造・場外運搬

現場の敷地内、もしくは、近くに設置した専用プラントでUHPFRCを製造し、アジテータ車で運搬します。

アジテータ車での運搬

アジテータ車での運搬

③プライマーや接着剤の塗布

UHPFRCを打ち込む前に、既設の床版との一体性を確実なものとするためにプライマーや接着剤を塗布します。

接着剤の塗布

接着剤の塗布

④UHPFRCの場内運搬・打込み

攪拌機能を有する専用の自走式運搬機械にUHPFRCを荷卸し後、道路勾配に応じて、だれ止め剤を添加・攪拌します。UHPFRCの流動性を調整しながら運搬し、打ち込みを行います。

自走式運搬機械による場内運搬・打込み

自走式運搬機械による場内運搬・打込み

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⑤UHPFRCの敷均し・締固め

UHPFRCの打込み後、専用フィニッシャで敷均しと締固めを行います。

専用フィニッシャによる敷均し・締固め

専用フィニッシャによる敷均し・締固め

⑥仕上げ・シート養生

後続台車で、こて仕上げを行った後、シートと飛散防止ネットで覆い養生をします。

シート養生

シート養生

⑦防水工およびアスファルト舗装工

硬化したUHPFRCの上にアスファルト舗装を敷設します。
(床版防水の代わりに、防水性に優れるアスファルト舗装を行う場合もあります)

アスファルト舗装工

アスファルト舗装工

施工手順と機械配置図(1車線規制下)

施工手順と機械配置図(1車線規制下)

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特長・メリットココがポイント

耐荷力および耐久性の向上

UHPFRCは超高強度かつ緻密であるため、コンクリート床版・鋼床版のどちらのリニューアルにおいても、最小限の厚さで、最大の効果を発揮します。

  • UHPFRCは優れた引張特性を有するため、鉄筋に頼らない補強が可能となります。
  • プレストレストコンクリート床版においては、切削によるかぶり部分のプレストレス力(導入圧縮力)の消失をUHPFRCの引張強度でカバーします。
  • 輪荷重走行試験にて、従来の床版よりも疲労耐久性が向上していることを確認しています。
  • 耐久性の高い床版に更新できることから、ライフサイクルコストの低減に大きく寄与します。(アスファルト舗装を除く)
  • 道路橋床版自体の重量がほとんど変わらないため、橋梁下部工の補強を最小限に抑えることができます。

輪荷重走行試験

輪荷重走行試験

UHPFRCの引張特性

UHPFRCの引張特性

UHPFRCの塩分浸透抵抗性(劣化促進試験後)

UHPFRCの塩分浸透抵抗性(劣化促進試験後)

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UHPFRCの流動性を任意にコントロール

UHPFRCは流動性が非常に高いため、一般的には複雑な形状を有する型枠への流し込み施工に適した材料で、プレキャスト床版による床版取替工事の接続部(間詰)にも用いられてきました。

一方で、道路には縦断・横断勾配があり、床版の全面に流し込む際にはこの勾配によって先流れが生じる懸念があります。そこで、現場で流動性をコントロールするだれ止め剤「アジャストフロー™」を開発しました。

  • 勾配に応じて任意にUHPFRCの流動性を調整し、先流れをさせることなく施工厚さや平坦性を確保できます。
  • 流動性の調整は打込み直前や打込み途中に行えるため、“その場で”対処することができます。
  • 最大9%の勾配まで先流れせずに仕上げられることを試験施工にて確認しています。
  • 勾配のある床版への施工においても、鉄筋まわりの充填性や既設床版との一体性が良好であることを確認しています。

勾配9%での施工状況

勾配9%での施工状況

UHPFRCの流動性コントロール技術

UHPFRCの流動性コントロール技術

硬化後の評価試験(切断面)

硬化後の評価試験(切断面)

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適用実績

長野自動車道(特定更新等)岡谷高架橋改良工事(平成30年度)

長野自動車道(特定更新等)
岡谷高架橋改良工事(平成30年度)

場所:長野県岡谷市

工期:2022年11月~2029年10月
(規制期間は、5月~7月および8月~11月)

発注者:中日本高速道路

規模:UHPFRCの打替え範囲20,000m2

学会論文発表実績

  • 「UHPFRC床版打替え工法による道路橋床版のリニューアル」,コンクリート工学,Vol.63,No.7,2025年
  • "Experimental investigation of fatigue behavior of UHPFRC – RC composite deck slabs subjected to moving wheel loading",Engineering Structures 303,2024年
  • 「既設部材の補修・補強に用いる場所打ちUHPFRCの引張特性および拘束条件下における挙動に関する研究」,土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造),Vol.77,No.3,2021年
  • 「UHPFRCで打替えやオーバーレイをしたPC梁部材の曲げ特性に関する検討」,令和2年度土木学会,第75回年次学術講演会,2020年
  • 「UHPFRCによる道路床版打替え・補強工法に向けた実大施工実験」,第28回プレストレストコンクリート工学会,シンポジウム論文集,2019年
  • 「超高強度繊維補強コンクリートの道路床版打替え工法への適用に関する研究」,第26回プレストレストコンクリート工学会,シンポジウム論文集,2017年

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