PC斜張橋
コンクリート橋の長大化に理想的な構造形式
PC斜張橋は、耐久性に優れたコンクリートと高張力ケーブルを組み合わせた、コンクリート橋の長大化に理想的な構造形式です。主桁、主塔、斜材ケーブルの多様な組合せにより環境に調和する美観を追及することができ、地域のシンボル的な存在となります。
わが国においても各地で相次いでPC斜張橋が建設され、その支間も長大化しています。鹿島は数々のPC長大橋の実績をもとに、早くからPC斜張橋の設計・施工に関する研究開発に取り組み、多数のPC斜張橋を手がけて技術の蓄積を図ってきました。
国内有数規模となる最大支間長475mの鋼・コンクリート混合5径間連続斜張橋
─ 岩城橋
令和4年度プレストレストコンクリート工学会 作品賞
- キーワード
- 斜張橋、鋼コンクリート混合構造
岩城橋は、愛媛県北部に位置する上島町において、町内の4島を3つの長大橋で結ぶ上島架橋整備事業の一環として建設されました。弓削大橋(1996年供用)、生名橋(2011年供用)に続いて3番目となる岩城橋の2022年3月の供用開始によって、県道岩城弓削線(ゆめしま海道)が全線開通しました。
本橋は、中央支間長475m、主塔高さ132mの国内有数の大型斜張橋です。主桁は、長い中央支間と短い側径間のアンバランスな径間割に対し、重量バランスをとって構造を成立させるため、側径間はPC桁、中央径間はPC桁と鋼桁の両方が用いられた混合桁が採用されています。

PC桁の張出し架設状況

鋼桁の架設状況

岩城橋(完成写真)
<概要>
企業者:愛媛県
場所:愛媛県越智郡上島町
工期:2017年3月〜2022年2月
構造形式:5径間連続鋼・コンクリート混合斜張橋
橋長:735.0m
幅員:7.5m(有効幅員)
国内最長の径間長を有する斜版橋
─ 第二吾妻川橋梁
- キーワード
- 鉄道橋、斜版橋、曲線橋、張出し架設
第二吾妻川橋梁は、岩島駅より上流側の約1.0kmの地点から、曲線半径600mの左曲線を描きながら吾妻川を渡河する橋梁です。単径間PRC桁橋と3径間連続PRC斜版橋の2橋で構成され、PC斜版橋の中央スパン167.0mは国内最長となります。
「PRC斜版橋」という構造形式が採用されたのは、鉄道橋には乗客の安全性と快適性の確保が求められることと、吾妻川をまたぐ大スパンを実現することの二つの理由によります。この構造は、長大支間に適した斜張橋に似た形状で、主塔を介してケーブルを斜めに配置して橋桁を吊り上げるとともに、このケーブルを版状のコンクリートで被覆して、主桁の揺れの軽減を図っており、剛性と列車走行性に優れた鉄道橋に適した構造形式となっています。世界的に珍しい独立4本柱の主塔形状は、地域住民の結束を意味し、みんなで力を合わせて支えるイメージを表現しました。また、柱の断面を上下で変化させることで、つり合いと安定感を創出しています。

全景

施工写真
<概要>
企業者:東日本旅客鉄道
場所:群馬県吾妻郡
工期:2005年7月~2010年3月
構造形式:PRC3径間連続斜版橋
橋長:390.0m
支間割:110.4m+167.0m+110.4m
幅員:8.4m(全幅員)
学会論文発表実績
- 「3径間連続PRC斜版中路箱桁橋の施工」,プレストレストコンクリート,2009年9月
世界初の波形鋼板ウェブPC斜張橋
─ 豊田アローズブリッジ
平成16年度土木学会 田中賞 作品部門
平成16年度プレストレストコンクリート技術協会賞 作品部門
2006年日本コンクリート工学協会 作品賞
- キーワード
- 斜張橋、複合橋、鋼殻構造、クライミング足場、鋼製定着、超大型移動作業車、矢作川橋
豊田アローズブリッジは、新東名高速道路と東海環状道路の共有区間で、1級河川矢作川を横過する世界で初めての波形鋼板ウェブPC・鋼複合斜張橋です。
本橋の構造的な特徴は、コンクリートと鋼のメリットを最大限活かした複合構造を随所に採用するとともに、耐震設計や耐風設計などの大規模橋梁としての技術的課題に対しても最新の解析技術や様々な構造実験を行うことで、構造安全性・耐久性の確保に加え、経済性との両立も可能としました。また、主塔施工へのクライミング足場の採用や、超大型移動作業車を用いた主桁の張出し架設など、最先端の施工技術を駆使して、短期間で高品質な施工が行われました。

全景

超大型移動作業車による主桁張出し架設
<概要>
企業者:日本道路公団
場所:愛知県豊田市
工期:2001年8月~2005年3月
構造形式:PC4径間連続波形鋼板ウェブPC・鋼複合斜張橋
橋長:820m
支間割:173.4m+235.0m+235.0m+173.4m
幅員:43.8m(全幅員) 40.0m(有効幅員)
主塔高:109.6m(橋脚天端より)
斜材:セミファン型並列一面吊り(16段 工場製作ケーブル)
学会論文発表実績
- 「矢作川橋の上部構造の設計」,橋梁と基礎,2005年2月
- 「矢作川橋の下部・基礎構造の設計・施工」,橋梁と基礎,2005年2月
- 「矢作川橋の上部構造の施工」,橋梁と基礎,2005年2月
プレキャストセグメント工法によるPC斜張橋
─ 天建寺橋
- キーワード
- PC斜張橋、プレキャストセグメント工法、セミショートラインマッチキャスト方式、レール式運搬車
天建寺橋は、佐賀県と福岡県を結ぶ一般県道西島筑邦線の現天建寺橋の老朽化に伴って計画された、橋長426.0m、中央支間219.0mを有する、3径間連続の長大PC斜張橋です。本橋は、筑後川を中心とした周辺の自然環境と一体となった景観の創造及び一般の方々に親しまれる地域のランドマークを創造するために、3径間連続のPC斜張橋が選定されました。
本橋の施工には、省力化と工期短縮を目的として、3室箱桁断面を有するPC斜張橋としては我国で初めてプレキャストセグメント工法が採用されました。主桁セグメントの製作には、6セグメント分の底版型枠と1セグメント分の側型枠及び内型枠を用意し、6セグメントの製作をマッチキャスト方式で1サイクルとして繰り返す「セミショートラインマッチキャスト工法」を採用しました。本工法の採用により、「ロングラインマッチキャスト工法」よりも製作ヤードや製作設備の規模を小さくでき、「ショートラインマッチキャスト工法」と比較して基準セグメントの移動とセットの回数を減らせることから、セグメント製作工程や製作精度管理の省力化を図ることができました。

製作ヤード全景
- 外ケーブル及び高強度コンクリートの採用
主桁に配置されているPC鋼材には、一部外ケーブル方式が採用されており、さらに、設計基準強度σck=60N/mm2の高強度コンクリートを採用することにより、セグメントの軽量化が図られています。

施工写真
- エレクションガーダーによる張出し架設
主桁セグメントは張出し工法により架設されました。セグメントの架設地点までの運搬には、既設の主桁上に架設されたエレクションガーダー上を走行する桁吊り装置を用いました。各セグメントは、架設地点まで運搬された後、桁吊り装置に保持された状態で、接着剤の塗布、引き寄せ、PC鋼材の緊張等の一連の作業を行い既設のセグメントと一体化されました。

天建寺橋(完成写真)
<概要>
企業者:佐賀県鳥栖土木事務所
場所:佐賀県三養基郡~福岡県久留米市
工期:1996年7月~1999年3月
構造形式:3径間連続PC斜張橋
橋長:426.0m
支間割:102.7m+219.0m+102.7m
幅員:全幅14.6~17.6m
主塔高さ:56.0m
学会論文発表実績
- 「プレキャストセグメント工法で施工されるPC斜張橋について ─一般県道西島筑邦線天建寺橋橋梁整備工事─」,プレストレストコンクリートの発展に関するシンポジウム(第7回),1997年10月