PC桁橋
プレストレストコンクリート(PC)橋の基本構造形式
桁を水平に架け渡した最も基本的な橋の形式で、主に単純桁橋、連続桁橋に区分されます。さらに桁の断面形状によって、T桁橋、箱桁橋などに区分されます。
単純桁橋は、桁が単純に橋台または橋脚に支持されている橋で、最もよく見かける橋の構造形式です。連続桁橋は、橋の両端以外の中間でも橋脚で支持されて2径間以上桁が連続している橋で、道路の高架橋等で最も多く採用されている構造形式です。さらに、桁と橋脚を一体化した構造形式をラーメン橋と言います。桁を連続させることにより、単純桁橋と比較して桁端部以外に目地(伸縮装置)がなくなり、自動車の走行性が向上します。
主桁断面寸法の変化に対応した鉄筋先組工法
─ 紀北西道路・雄ノ山高架橋(分合流部)
特許登録済
- キーワード
- 張出架設、広幅員、鉄筋先組
雄ノ山高架橋(分合流部)は、京奈和自動車道から阪和自動車道に接続する和歌山県岩出市に架かる橋長250mのPC3径間連続箱桁橋です。
本橋は、終点側の掛け違い部において本線橋・分流ランプ橋・合流ランプ橋に分岐するため、車道幅員が張出し架設施工範囲で22.2mから26.0mまで変化します。さらに、2主箱桁構造であることから、1サイクルにかかる日数は一般的な1室箱桁構造の1.5倍程度を要するため、張出し架設の施工サイクル短縮を目的として、鉄筋先組工法を採用しました。移動作業車の前方に先組み専用の踊場と鉄筋組立架台を設置して鉄筋を先組みし、電動チェーンブロックとトロリーを用いて主桁型枠の内部に引き込みを行いました。
鉄筋先組工法の採用によってサイクル工程を1.5日短縮することができました。

鉄筋先組みによる張出架設作業手順

先組み鉄筋組立状況

先組み鉄筋の引込み状況

雄ノ山高架橋(分合流部)(完成写真)
<概要>
企業者:国土交通省近畿地方整備局
場所:和歌山県岩出市
工期:2013年9月〜2017年3月
構造形式:PC3径間連続箱桁橋
橋長:250.0m
幅員:22.2m〜26.0m
学会論文発表実績
- 「広幅員PC上部工事における創意工夫 ─紀北西道路 雄ノ山高架橋─」,土木学会,建設技術発表会2018,2018年11月
景観に配慮したフィンバック形式PRCラーメン橋
─ 衣川橋梁改築工事・JR東日本東北本線
- キーワード
- フィンバック、景観、PRCラーメン橋、衣川橋梁
衣川橋梁は固定式支保工架設により、フィンバック(魚の背びれ)形式の4径間連続PRC下路ラーメン橋です。
本工事は一関遊水事業の一環で、衣川の堤防改修に伴い、東北本線の既設鉄橋を4m嵩上げする必要性から、国土交通省の委託を受けたJR東日本が別線方式で新設したものです。また、建設地周辺の平泉文化遺産を世界遺産に登録申請していることから、“古都平泉のイメージにふさわしい事業”を目指し、景観に配慮した設計が求められました。景観設計の見直しにより、頂部の高さの低減や定着突起を桁内側に設けるなど周辺環境により調和したデザインとなりました。
主桁には鉄筋やPC鋼材が高密度に配置されているため、コンクリートの打込み対して十分な検討や試験を実施しました。コンクリートの配合は、充填性を確保しつつ材料分離を抑えるため、石灰石微粉末を混合した配合とし、アルカリ骨材反応による劣化対策として骨材すべてに石灰石を使用しました。コンクリートの耐久性向上及び美観向上のため、コンクリート表面に発生する気泡(あばた)対策を事前に検討した上でその効果確認試験を実施しました。また、施工性の確認のため、実物大模型を用いた打設試験を実施し、コンクリート表面の美観を考慮した実際の打込み手順の確認を行い、本橋の施工を行いました。

主桁断面

支保工施工状況

衣川橋梁(完成写真)
<概要>
企業者:東日本旅客鉄道
場所:岩手県西磐井郡
工期:2005年3月~2008年7月
構造形式:4径間連続PRC下路ラーメン橋
橋長:162.24m
支間割:32.750m+2@47.500m+32.750m
幅員:11.400m(有効幅員9.10m)
学会論文発表実績
- 「フィンバック形式下路ラーメン橋・東北本線衣川橋りょう改築工事報告」,コンクリート工学,vol.46,No.2,平成20年2月号,2008年2月
補助桁併用張出し架設工法を用いた橋梁架設
─ はまゆう大橋
平成16年度土木学会 田中賞 作品部門
平成15年度プレストレストコンクリート技術協会賞 施工技術部門
- キーワード
- 補助桁併用張出し架設工法、後ラーメン化、VE提案、はまゆう大橋
はまゆう大橋有料道路の『はまゆう大橋』は、2004年4月~10月開催の『しずおか国際園芸博覧会・パシフィックフローラ2004(愛称:浜名湖花博)』の交通アクセス整備の一環として整備された、浜名湖を横断架橋する9径間連続PC箱桁橋です。
架橋位置は、豊かな自然が保たれ浜名湖でも優良な漁場であり、本橋の工事は、環境に十分留意して行う必要がありました。そこで、湖面を使用しないことから自然環境にやさしい施工法として新たに開発した工法の『補助桁併用張出し架設工法』を鹿島よりVE提案し採用されました。補助桁併用張出し架設工法には次の特徴があります。①補助桁に仮設構台の役割を受け持たせるため、桁下空間(湖面)を利用せずに施工できます。②②架設桁(補助桁)と移動作業車(ワーゲン)の汎用機材を組合せるため、機材の調達が容易です。③複数橋脚同時に施工できるため、施工期間を短縮できます。
また本橋では、施工中は上下部工間に可動支承を設置して主桁完成時(径間連結時)各橋脚に生じているクリープ、乾燥収縮等による水平力を解放させた後、上下部工を剛結してラーメン構造とする構造としました。このように上下部工の剛結時期を遅らせることにより、橋脚に作用する不静定力を減少させることが可能となり、固定支間長が長く短橋脚の連続ラーメン構造の成立が可能となりました。

補助桁併用張出し架設工法

後ラーメン化工法概略図
柱頭部拡大図:上下部工の剛結前(左)後(右)

はまゆう大橋(完成写真)
<概要>
企業者:静岡県浜松土木事務所・静岡県道路公社
場所:静岡県浜松市
工期:2002年9月~2004年1月
構造形式:PC9径間連続ラーメン橋
橋長:790m
支間割:61.3m+7@95m+61.3m
幅員:11.5m(車道2車線8m+歩道3.5m)
学会論文発表実績
- 「補助桁併用張出し架設工法特集(その1)はまゆう大橋頭上の"桁"で資財搬入 ─鹿島建設の補助桁併用張出し架設工法 見所は環境施工と後ラーメン」,橋梁&都市project,2003年12月
フリーワイズワーゲンを用いた張出し施工
─ 中央自動車道長野線・岡谷高架橋
昭和61年度土木学会 田中賞 作品部門
昭和61年度プレストレストコンクリート技術協会賞 作品部門
- キーワード
- フリーワイズワーゲン、張出し架設工法、拡幅・分岐、岡谷高架橋
岡谷高架橋は、中央自動車道西宮線から長野線への分岐点となる岡谷ジャンクション部に建設された橋長593mのプレストレストコンクリート5径間連続ラーメン箱桁橋であり、地上約60mの高さで岡谷市街地、天竜川及びJR東日本中央本線を横断しています。
本橋は、PC連続桁としては我が国最大規模を有し、ジャンクションランプ橋との接続部では、橋桁が途中で拡幅・分岐するという複雑な構造となっています。そこで張出し施工にはフリーワイズワーゲンが採用されました。このワーゲンは、橋桁が途中で拡幅・分岐しても、主桁分岐形状に対応して張出し架設ができます。幅員の変化に対して、2本の「横スライドビーム」でメインフレーム下部を連結し、ビーム下部にローラーによる「横移動装置」を装備した車輸を取り付け、主桁間隔が変化してもそれに追随してワーゲンの車輸の位置が自由に変化する機能を持たせています。分岐に対しては、あらかじめ装置の分岐位置に分離可能な「接合部」と「作業足場」を設けてあるため、簡単に装置全体を2つに分離でき、また分離後は独立した2基のワーゲンの機能を発揮できる構造になっています。
高さ50mの橋脚の施工は、セルフクライミングフォーム工法と全足場工が併用されました。

フリーワイズワーゲン

完成した分岐部分

セルフクライミングフォーム工法

岡谷高架橋(完成写真)
<概要>
企業者:日本道路公団名古屋建設局
場所:長野県岡谷市
工期:1983年3月~1986年2月
構造形式:PC5径間連続ラーメン3室箱桁橋
橋長:(上り線)593m (下り線)578m
支間割:104m+126m+148m+126m+89m
幅員:標準部18m(全幅21.4m)
学会論文発表実績
- 「岡谷高架橋の設計と施工」,プレストレストコンクリート,1986年10月