エクストラドーズド橋
桁橋と斜張橋の中間的な特徴を有する新しい構造形式
エクストラドーズド橋は、桁橋では桁高の範囲内に配置される外ケーブルを、支点上に主塔を設けて桁高の範囲外まで偏心させた橋梁です。主桁・主塔・斜材より構成され、景観上は斜張橋に似ていますが、構造的には桁橋に近く、斜張橋に比べて主桁の剛性が高く、主塔が低いのが特徴です。
桁橋と斜張橋の中間的な特徴だけでなく、適用支間長でも桁橋と斜張橋の中間をカバーしており、鹿島は早くからエクストラドーズド橋の設計・施工に関する研究開発に取り組むとともに、施工経験を重ねて技術の蓄積を図ってきました。
新幹線のコンクリート橋として国内最長スパンとなるエクストラドーズド橋
─ 北陸新幹線・細坪架道橋
令和3年度プレストレストコンクリート工学会 作品賞
- キーワード
- エクストラドーズド橋、張出架設
細坪架道橋は、北陸新幹線(金沢・敦賀間)の橋梁として石川県加賀市に建設された橋長339mのPC3径間連続エクストラドーズド橋です。国道8号を跨ぐ位置に架橋するため、中央支間長は155mとなり、2022年の竣工時点において新幹線のコンクリート橋として国内最長スパンです。
本橋の斜材は三重防錆構造で、エポキシ樹脂被覆PC鋼より線をグラウトとFRP製の斜材保護管で巻き立てており、LCC低減が図られています。また、斜材が日射を受けると温度変化によって桁にたわみが生じますが、保護管の色を白色とすることで温度変化の影響を抑制しています。

張出し架設状況

温度変化の影響を抑制する白色の斜材保護管

細坪架道橋(完成写真)
<概要>
企業者:鉄道建設・運輸施設整備支援機構
場所:石川県加賀市
工期:2017年2月〜2021年11月
構造形式:PC3径間連続エクストラドーズド橋
橋長:339m
支間割:92.0m+155.0m+92.0m
幅員:13.76m(標準部)、14.56m(主塔部)
学会論文発表実績
- 「新幹線最長スパンPCエクストラドーズド橋 北陸新幹線細坪架道橋の施工」,プレストレストコンクリート工学会,第30回シンポジウム論文集,2021年10月
世界最大支間長の3径間連続エクストラドーズドPC橋
─ 三戸望郷大橋
平成16年度プレストレストコンクリート技術協会賞 作品部門
- キーワード
- エクストラドーズド橋、張出架設、マルチエポキシケーブル、工場製作ケーブル
三戸望郷大橋は、青森県の農業振興地域である南部町~三戸町~田子町を東西に結ぶ「三戸地区広域営農団地農道整備事業」の一環として建設された橋長400mの3径間連続エクストラドーズドPC橋です。本橋の中央径間は、急峻な山間を流れる1級河川馬淵川と青い森鉄道(旧JR東北本線)及び三戸町道を同時に跨ぐため、中央支間長は200mとなり、2005年竣工時点において、鋼桁を併用しないエクストラドーズドPC橋としては世界最大支間長です。
本橋の斜材には架設時の安全性と施工の合理化に配慮し、「工場製作型」のマルチエポキシケーブル斜材システムを採用しました。斜材はフロボンド細粒エポキシ被覆を施したΦ15.2mmのストランドを工場で19本(19S15.2)又は27本(27S15.2)束ね、更に高密度ポリエチレン被覆したマルチエポキシケーブルで、耐久性も優れています。

マルチエポキシケーブル断面

マルチエポキシケーブル斜材の架設状況

主塔サドル構造

三戸望郷大橋(完成写真)
<概要>
企業者:東日本旅客鉄道
場所:青森県三戸郡
工期:2001年7月~2004年11月
構造形式:3径間連続エクストラドーズドPC橋
橋長:400m
支間割:99.25m+200m+99.25m
幅員:10.25m(有効幅員)
学会論文発表実績
- 「PC構造のエクストラドーズド橋として世界最大級スパンを有する橋梁の施工事例 ─三戸望郷大橋─」,2nd fib Congress National Report,2006年6月
- 「長大スパンを有するエクストラドーズド橋の計画と施工」, 農業土木学会東北支部第46回研究発表会,2002年11月
3径間連続複合エクストラドーズド橋
─ 日本パラオ友好橋
平成14年度土木学会 田中賞 作品部門
平成14年度プレストレストコンクリート技術協会賞 作品部門
- キーワード
- エクストラドーズド橋、PC鋼混合橋、張出架設、鋼桁一括架設、日本パラオ友好橋
ダイビングのメッカとして知られるパラオ共和国は、南太平洋に位置し、紺碧の海に浮かぶ美しい珊瑚礁に囲まれた島々で構成されています。パラオの政治経済の中心を担うコロール島と国際空港、発電所などの重要施設の置かれているバベルダオブ島を結んでいたKB橋が1996年に突然崩壊したため、KB橋と同じ位置に、日本政府からの無償資金協力により新たに建設されたのが本橋です。本橋は3径間連続複合エクストラドーズド橋で、海峡を跨ぐ主径間のおよそ1/3の区間を鋼桁として死荷重を軽減することにより、主塔まわりのアンバランスの改善と端支点の負反力抑制が図られています。

PC桁の張出架設状況

鋼桁大ブロックの吊上げ

日本パラオ友好橋(完成写真)
<概要>
企業者:パラオ共和国資源開発省
場所:パラオ共和国コロール・バベルダオブ海峡
工期:1999年11月~2001年12月
構造形式:3径間連続複合エクストラドーズド橋
橋長:412.7m
支間割:82.0m+247.0m+82.0m
幅員:11.5m(車道2車線8.0m+歩道1.2m)
架設工法:両側張出し施工(PC桁) 大ブロック一括架設工法(鋼桁)
学会論文発表実績
- 「海外工事におけるSMA施工実績 パラオ共和国 日本パラオ友好橋建設工事」,アスファルト合材,2002年7月
- 「パラオ共和国・日本パラオ友好橋の施工(上) ─3径間連続複合エクストラドーズド橋─」,橋梁と基礎,2001年12月
- 「パラオ共和国・日本パラオ友好橋の施工(下) ─3径間連続複合エクストラドーズド橋─」,橋梁と基礎,2002年1月
世界初のPC・鋼混合連続エクストラドーズド橋
─ トゥインクル(木曽川橋)
平成13年度土木学会 田中賞 作品部門
平成13年度プレストレストコンクリート技術協会賞 作品部門
- キーワード
- エクストラドーズド橋、PC鋼混合橋、プレキャストセグメント工法、ショートラインマッチキャスト方式
木曽川橋は、新名神高速道路のうち木曽川を横断する箇所に建設された世界で初めてのPC・鋼混合5径間連続エクストラドーズド橋です。中央支間は275mあり、日本の河川にかかる橋の中で最大級の支間となります。PC・鋼混合構造とは、圧縮に強いコンクリートの特長と、軽量化が可能な鋼の長所を複合させた合理的で経済的な構造です。
本橋のコンクリート桁部は、ショートライン・マッチキャスト方式で製作したプレキャストセグメントを張出し架設しました。鋼桁部は、工場で大ブロックに製作し、架設地点で一括吊り上げ架設工法により施工しました。

ショートライン・マッチキャスト方式によるセグメント製作

エレクションノーズによる張出し架設

エレクショントラスを用いた側径間部の逆張出し架設

鋼桁の一括吊り上げ架設

木曽川橋(完成写真)
<概要>
企業者:日本道路公団
場所:三重県桑名郡
工期:1997年9月~2001年6月
構造形式:PC・鋼混合5径間連続エクストラドーズド箱桁橋
橋長:1,145m
支間割:160.0m+3@275.0m+160.0m
幅員:14.0m×2(有効幅員)
学会論文発表実績
- 「木曽川橋、揖斐川橋の設計・施工 ─複合エクストラドーズド橋─」,プレストレストコンクリート,第41巻2号,1999年3月
- 「木曽川橋・揖斐川橋複合構造接合部の設計と施工」,プレストレストコンクリート,第42巻1号,2000年1月
- 「木曽川橋・揖斐川橋」橋梁と基礎,2002年8月
大偏心外ケーブル方式5径間連続PC橋
─ 士狩大橋
平成12年度土木学会 田中賞 作品部門
平成12年度プレストレストコンクリート技術協会賞 作品部門
- キーワード
- エクストラドーズド橋、施工管理計測、地震観測、仮支柱、自動制御システム
士狩大橋は、十勝平野の南北の交通軸として期待されている帯広広尾自動車道のうち、十勝川を渡る大偏心外ケーブル方式(エクストラドーズド)5径間連続PC箱桁橋です。この構造形式は、高速走行性、経済性、施工性、維持管理、景観性などを考慮して採用されたもので、低い主塔とケーブルのシルエットは背景となる日高山脈の美しい山並みと調和しています。

張出架設状況

偏向塔定着架台

大偏心連続外ケーブルの採用

士狩大橋(完成写真)
<概要>
企業者:北海道開発局帯広開発建設部
場所:北海道河西郡
工期:1996年10月~2000年2月
構造形式:大偏心外ケーブル方式5径間連続PC箱桁橋
橋長:610.0m
支間割:94.0m+3@140.0m+94.0m
幅員:全幅23.0m~29.8m
学会論文発表実績
- 「士狩大橋における水平反力分散ゴム支承の後ひずみ調整」,土木学会北海道支部論文報告集(第56号),1999年12月
- 「士狩大橋における大偏心外ケーブルの施工と計測」,土木学会北海道支部論文報告集(第56号),1999年12月