VFCによるRC橋脚の耐震補強工法
高強度繊維補強セメント系複合材料(VFC)による
最小限の補強でRC橋脚の耐震性能を向上
既設RC橋脚の基部など地震が作用した際に損傷しやすい部分のかぶりの一部へ、場所打ち可能なVFC※とひび割れ誘発目地を適用する耐震補強工法です。橋脚断面や自重を増やすことなく、地震による補強部の損傷を抑制して耐震性能を高めることができます。大規模地震に対する復旧性の向上を実現するとともに、河積阻害や基礎への負担、狭隘な施工条件などから既往の工法が適用できない橋梁の耐震補強に適しています。
※Very high strength Fiber reinforced Cementitious composites:
圧縮強度が100N/mm2以上で緻密なセメント系材料を鋼繊維で補強したもの
特許登録済

本工法を適用した岡谷高架橋改良工事
- キーワード
- 高強度繊維補強セメント系複合材料(VFC)、RC橋脚、耐震補強、耐震性能、復旧性
本工法の概要
本工法は、既設RC橋脚の基部など地震時に損傷しやすい部分のかぶりの一部へ圧縮強度、曲げ強度が高いVFCを適用する工法です。本工法による補強部では、地震による損傷がVFCで抑制されることから、補強範囲を最小限に抑えながらRC橋脚の耐震性能を高めることができます。
長野自動車道岡谷高架橋では、大規模地震に対する復旧性の更なる向上を図るため、コンクリート巻立て工法と併用して本工法が適用されました。

本工法の概要

適用箇所
本工法の特長・メリット
補強部位の損傷を抑制して高い補強効果を実現
本工法で補強されたRC橋脚では、地震によって生じるかぶりコンクリートの圧壊や軸方向鉄筋の座屈といった損傷を、高い圧縮強度と曲げ強度を有するVFCが抑制することで、橋脚全体の変形性能が向上します。
- 実験において、本工法の適用により変形性能が40%程度向上できることを確認しています。
- VFCによるかぶりの高強度化、拘束効果を見込むことで、本工法による補強効果を評価することが可能です。
- 地震で損傷したRC橋脚を対象とした補修にも、本工法を適用することができます。

実験の状況

変形性能の向上効果
断面や重量を大きく増やすことなく耐震性能を向上
本工法は、RC橋脚の基部など地震によって損傷が生じやすい部分のかぶりに限定してVFCを適用するため、断面や重量を大きく増やすことなく補強を行うことができます。そのため、以下のような橋梁の耐震補強に効果的です。
- 大規模地震に対して迅速な復旧が求められる重要路線の橋梁
- 河積阻害や基礎への負担から、断面や自重が増やすことができない橋梁
- 都市内高架橋など狭隘な場所に立地しており、大規模な巻立て補強ができない橋梁

既往の耐震補強工法と本工法の比較
条件、環境に応じたVFCの場所打ちが可能
本工法で適用するVFCは、配合を調整することで流し込み、こて塗り、吹付けなど、様々な方法による場所打ちが可能です。
- 本工法を適用した岡谷高架橋では、高い流動性を有するVFCを用いてポンプやシュートによる打ち込みを行い、良好に施工することができました。
- 小規模な橋脚や狭隘な施工環境では、型枠が不要となるこて塗りや吹付けによる効率的な施工が可能です。

岡谷高架橋での施工状況
適用実績

長野自動車道(特定更新等)
岡谷高架橋改良工事(平成30年度)
場所:長野県岡谷市
工期:2022年11月~2029年10月(予定)
発注者:中日本高速道路
規模:岡谷高架橋他4橋のPC箱桁橋の改良工事ほか 本工法は19基のRC橋脚へ適用予定
学会論文発表実績
- 「既設部材への影響等に配慮した耐震補強技術に関する共同研究」,土木研究所資料,第563号,2023年
- 「場所打ち可能な超高強度繊維補強モルタルで耐震補強されたRC橋脚の変形性能の評価手法」,土木学会論文集A1,Vol.78,No.2,2022年
- 「場所打ち可能な超高性能繊維補強セメント系複合材料を用いた耐震補強工法の施工実績」,土木学会,第80回年次学術講演会,VI-671,2025年
- 「超高強度繊維補強コンクリートによる橋脚の耐震補強技術」,セメント・コンクリート,No.876,2020年
- 「場所打ち可能な高性能繊維補強モルタルで補修したRC橋脚の曲げ特性」,土木学会,第79回年次学術講演会,V-146,2024年