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高齢者のためのデザイン
一歩先のユニバーサルデザイン
日本は世界に類を見ない急速な高齢化が進行しており、2012年9月に65歳以上の人口が3,000万人を超え高齢化率24.1%の超高齢社会となっています。そのため社会需要として公共施設や医療施設にかかわらず高齢者に対応した施設づくりが求められています。
鹿島では、これまでの身体能力の低下をサポートするユニバーサルデザインだけではなく、時間や空間の認知能力などの高齢者の低下する能力に対して全く新しいデザインで様々な面からサポートします。
キーワード
- 高齢者、認知、ユニバーサルデザイン、快適、アメニティ、安心、安全、療養環境
時間と空間認知をサポートする
超高齢化社会となり高齢者に配慮したユニバーサルデザインが不可欠となっています。これまでにユニバーサルデザインは身体的能力の低下へ適応したデザインがほとんどでしたが高齢者の低下する能力は身体能力だけではありません。そこで同時に低下していく時間や空間の認知能力に対するユニバーサルデザインを採用して憩いの場であるとともに治療の場となる空間づくりをおこなっています。産業総合研究所や国立障害者リハビリテーションセンターの最新の知見を利用して時間認知、空間認知サポートのデザインを建物全体に展開しています。
空間認知の低下に対しては、代替手法の考え方により、色、模様(形)、文字などの複数情報を提供することで認知しやすい内装計画をしています。また、サインに関しては設置位置(高さ)、背景との明度差、文字の色や大きさを工夫して見つけやすいサイン計画をおこなっています。
時間認知の低下に対しては、光庭や半屋外テラスにて外気と触れ合うことで時の移ろいが感じられる空間構成とし、スケジューラーを用いて時間を視覚化することで時間認知と情報・計画力のサポートを行っています。また、生活サイクルをサポートする照明システムで概日リズムの適正化を図っています。
群馬病院の竣工後モニタリングによるフィードバック
竣工後に施設利用者へのアンケート調査や環境計測を実施。結果をまとめた上、分析蓄積することで、設計時の品質の検証と次の計画へのフィードバックを重ねることにより、確実な空間性能の品質確保を実現します。
例えば鹿島が設計施工を請け負った群馬病院(精神科病院)では、病院の建替を境にして、新しい病院建物が患者さんの認知に関する症状にどのような影響を及ぼしたかについて、調査を実施しました。その結果、注意力や記憶力など、調査を行ったすべての認知機能について、症状の改善が見られたことを確かめられました。