現在の敷地内で増改築をしたい
医療継続を確保しながら安全な施設整備を行います
既存敷地の空地を活用し、病院を運営しながら建設を進める「居ながら®」建替。限られた敷地内での施設の更新は、診療を止められない病院にとって大きな課題となります。また、同じ敷地内での工事の音・振動、設備の盛り替えなどにより、診療制限の発生も危惧されます。鹿島はこれまで培った各種の高度な建設技術を駆使しながら、関係者間の綿密な連携を図ることでこれらの課題を克服し、スムーズな建替えを実現します。
※「居ながら®」は鹿島の登録商標です。病院をはじめとする施設おいては、既存建物を使いながらの工事が必要な場合が多くあります。鹿島は業界に先駆けてその重要性を認識し、工事に伴う既存建物の使用制限を最小限にするためのノウハウを開発、蓄積しています。
病院「居ながら®※建替」の
ポイント
1. 診療継続の確保
2. 安全確保
3. 騒音・振動の低減
4. 迅速で確実な工事
綿密な「居ながら建替」プログラムの検討
限られた敷地内での建替をスムーズに実行するためには、工事の手順を綿密に検討し、効率的な建替プログラムを作成することが重要です。特にスクラップ&ビルド(増改築)を繰り返す場合には、将来を見据えたマスタープランづくりも必要です。建物や敷地の状況は病院によってすべて異なるため、建替プログラムも、それぞれの病院ごとに検討しなければなりません。
【事例①】免震建物をつなぎ合わせる
松山リハビリテーション病院の「居ながら®建替」では、様々な計画案が検討された結果、工期はかかるが、診療の継続性を保ち、最も経済的に施工できる「順次建替」案が作用されました。
特徴的なのは、免震構造が採用された本館が、部分的に増築するかたちで2回に分けて建設されたため、「免震建物をつなぎ合せる」という新しい試みがなされたことです。免震建物を第一期工事、第二期工事に分けて施工し、最終的に一体化したことは、高度な施工技術を駆使した先進事例として注目を集めました。
- ①既存:
- 建替えスタート
- ②Ⅰ期工事:
- スペースに建設可能な容積の本館Ⅰ期(免震構造)を建設
- ③Ⅱ期工事:
- 本館Ⅰ期へ移転してから既存棟の一部を解体後、本館Ⅱ期(免震構造)を増築し、Ⅰ期・Ⅱ期の免震建物をつなぎ合わせる
- ④Ⅲ期工事:
- 空いた既存棟を解体し、リハビリ棟を建設(Ⅲ期工事)
- ⑤完成:
- 更に空いた既存棟を解体後、リハビリガーデンを整備、完成
- 医療を継続しながら現地建替
- 「改修+増築」案、「仮設病棟」案、「一部休床」案、「順次建替」案の比較検討
- 免震建物を分割施工し、つなぎ合わせる
【事例②】狭隘な都心での居ながら®建替
敷地面積の限られた都市部では、利用者の安全・動線、医療環境の確保のために、高度な技術と様々な工夫が必要となります。周辺はビルが密集し、敷地いっぱいに既存施設が建つ三井記念病院の建替え計画は、約5年間で段階的に解体、新築、移転を繰り返しました。厳しい施工条件のなか、病院そして近隣の安全を守りながら高品質の建物を、短工期で実現した事例です。
[ステップ1]入院棟建設
千代田区と近隣へ協力を依頼し、隣接する公園の一部を工事敷地として借用し、病院の前面道路を使用せずに工事を行った。完成後は公園を再整備し、地域の憩いの場を提供。
[ステップ2]外来棟建設
来院者用の車寄せスペースの上部に工事事務所を設置し、防護構台としての機能も持たせるとともに、先行床工法の採用で、解体から躯体工事、外装工事までを同時に進める工夫を行う。
[ステップ3]既存棟解体・外構整備
当社の騒音・振動影響解析システムを適用し、稼働中の病院の各エリアでの影響を予測しながら工事計画を立案。病院関係者には実際に生じる工事音を模擬試験で体感してもらい、医療環境への影響を最小限にとどめた。
- 病院運営の視点に立った施工
- 救急動線・患者動線・近隣動線の確保
- 工事中の駐車場確保の支援
- 騒音・振動の影響解析に基づく工事計画立案による療養環境の確保
【事例③】仮設外来棟を活用した居ながら®建替
敷地内の空地が狭い場合には、敷地外に一部の機能を仮移転したり、仮設建屋を活用した方が効率的な場合があります。亀田病院は現地建替えに際し、先ず敷地内に仮設外来棟を建設し、新棟整備までの13か月間使用することで「居ながら®建替」を行った事例です。
- 外来機能は仮設建屋で運用
- 仮移転中は来院者に安全で分かりやすいルートを確保
- 工期短縮で休床による減収の最小化