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免震・制震・耐震
地震時にも医療を提供できる構造技術
過去の震災では、建物は無事でも設備や検査機器等がダメージを受け、医療施設としての機能が果たせないことがありました。鹿島は地震対策技術の世界のトップランナーとして、豊富な実績とノウハウに基づき、建物の耐震診断から地震対策技術の導入まで、医療機能の維持につながる最適な災害対応策を提案します。
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キーワード
- 地震、免震、制震、耐震、耐震診断、医療継続、天井耐震
免震・制震・耐震とは
免震は揺れを逃がす構造、制震は揺れを吸収する構造、耐震は揺れに耐える構造です。
免震構造
免震構造は地盤と建物の間に免震装置を設置することにより、建物への揺れを低減します。
家具・什器・医療機器等の転倒を抑えられるので、安全性は飛躍的に向上します。また交通などの振動対策にも有効です。
免震レトロフィット
免震レトロフィットは、既に建っている建物に対して、上部の躯体に耐震部材を加えることなく地震に強く安全な建物にすることが可能です。鹿島では東京駅丸の内駅舎保存・復元工事に代表されるような免震レトロフィット工事の実績が多々あり、お客様の大切な建物を安全に免震改修できる技術を有しています。
免震構造の特徴
①地震の揺れを1/2〜1/5に低減します。
免震装置は地震の衝撃を吸収し、構造躯体への地震力の伝達や変形を低減します。
②医療機器や家具の転倒・破損を防止し、大切な財産を守ります。
建物の揺れを低減するため、機器や家具の転倒が少なくなり、安全な環境を維持します。
③医療機能の継続を実現します。
①②の特徴や設備配管等の破損も軽減できるため、災害後の医療機能の継続に寄与します。
適用事例
制震構造
細高い形状の建物では、免震ではなく制震の方が有効な場合があります。アクティブ型(機械装置を駆動させて揺れを抑える)、パッシブ型(建物に組み込んだ装置が揺れを吸収する)など、鹿島独自の多様な制震メニューから、対象建物 に最適なソリューションを提案します。
関連リンク
制震構造の特徴
①都市型の超高層建物にも適する構造形式
制震構造は、免震構造に比べて長周期地震動に対しても効果を発揮するため、超高層建物にも適しています。
②風揺れに対しても効果を発揮
強風時の建物の揺れが小さくなり、安全な医療環境を提供できます。
適用事例
天井耐震
東日本大震災では、二次部材(天井・設備)の大規模な崩落事故による人的被害や事業中断が大きな問題となりました。医療施設においても、天井から吊り下げられた医療機器の落下を防止するためにも、頑強で安全な天井をつくることは特に重要視されています。鹿島は「天井・設備の耐震性能評価」に関して、被害状況調査・振動台実験などによる独特の指針を制定し、二次部材の耐震性能評価・対策検討に適用しています。
二次部材(天井・設備)の被害の概要
天井の破損や落下の原因
- 東日本大震災では、建物の構造体から吊られた天井材や設備機器は、地震動により揺れが増幅され、構造体よりも大きな加速度を受けました。天井自体の崩落やこれまで耐震対策の検討から除外されていた範囲の設備機器等で被害がみられました。
- 段差のある天井部や天井内の設備機器は、それぞれが異なる周期で揺れることにより、相互干渉も発生します。
このような要因が複合して、天井の破損や落下の原因となりました。
【対策前(非耐震)】
下の映像は耐震性が考慮されていない天井を東日本大震災で得られた地震波を用いて、鹿島の大型振動台で揺らした場合です。地震により地盤から建物内に伝搬して来る地震力は、天井面においては段差部等の天井の吊り長さが異なるエリアに集中しやすくなり、次の順序で天井の崩壊や設備機器の落下が発生しています。
- ①:天井の段差部分(中央部のやや右側)と低い方の天井(段差部から左側)で下地金物が外れる。
- ②:低い方の天井が一体となり崩落する。
- ③:高い方の天井(段差部から右側)が大きくゆれ始める。
- ④:高い方の天井が右端部の壁に激しく衝突し、壁が崩壊する。
- ⑤:天井内設備機器(左側箱状の機器)を吊っているボルトが切れ、天井裏面に落下する。(実験の安全のため、ワイヤー吊りしています)
【対策後(耐震)】
右の映像は、非耐震の天井実験の結果をもとに、損傷した部分に対策を施した天井を同様の地震波で揺らした場合です。対策により天井は崩壊しません。実施した対策は以下のような内容です。
- ①:天井を揺れにくくするために、天井内に2対の斜め補強材を設置。
- ②:段差部分の補強。
- ③:下地金物を滑りにくいものに変更。
- ④:設備機器を揺れにくくするために、吊っているボルトに斜め補強を襷掛けに設置。
耐震診断
建物の耐震診断は、医療における健康診断と似ています。 鹿島が建物の専門家として耐震補強等が必要な状態かどうかを診断し、その結果によりお客様にその後の対処方法を選択していただきます。 まず建物の耐震性能の現状を知ることが、その後の対策を考える第一歩です。