

KAJIMA YEARBOOK 2012
2012年が暮れる。東日本大震災から1年半余が過ぎ,被災地の人々は悲しみを乗り越え,確実に前へ歩み始めたように見える。
当社はこの1年,復旧工事をはじめ,災害廃棄物処理や放射能除染作業,新たな街づくりへの参画など,被災地域の復興支援に力を注いできた。
一方で,旧本社ビル跡地の「AKASAKA K-TOWER」建設や,国民的注目を集める「東京駅丸の内駅舎」など,今年もビッグプロジェクトが完成の時を迎えた。
建設業が果たす「国民の安全・安心」に改めて思いを馳せ,技術の社会貢献の高さを再認識した2012年。“鹿島の活動の姿”を振り返る。
サンクトペテルブルク――ロマノフ王朝の残影
冬の旅人


知財の力
~鹿島と知的財産~
政府が知的財産戦略大綱を取りまとめてから10年。「知財のグローバル化」「知財戦略」「知財高裁」など, 知的財産に関するニュースを多く目にするようになった。今年5月には,日本企業の技術が海外に流出するのを防ぎ,日本の国際競争力を高めるための「知的財産推進計画2012」が策定された。
当社においても,グローバル社会での事業展開を見据え,海外への特許出願が増えている。また,資機材の海外調達により他社権利を侵害しないための対策を積極的に講じるなど,コンプライアンスの観点からも社員教育を充実させた。
知的財産を取り巻く環境が大きく変動する今,知的財産が持つ“力”を再認識し,当社の知的財産戦略を探る。
イスファハン――小さな楽園の石橋
長津田駅北口地区市街地再開発事業施設建築物新築工事
越中八尾おわら風の盆


橋梁
次世代に使い継ぐ
川や谷,海をまたぎ,街をつなぐ。橋梁は,我々の生活に欠かすことのできない最も身近な社会インフラのひとつである。
戦後,橋梁技術者たちは困難を乗り越え,数多くの橋梁を手掛けて国土の発展をもたらした。そこには,国土のために,子孫のためにという強い思いがあった。国内に持ち込まれた新たな技術は,技術者たちの不断の努力で,飛躍的な発展を遂げ,今なお進歩を続ける。
――橋梁にも,やがて更新期が訪れる。建設から50年を経るものは,10年後には3割に迫り,20年後には半数を上回る。海外では,経年劣化から大規模な崩落事故も起きた。人々の安全な暮らしを守るために,有効な手法を用いた維持管理体制の構築が急がれている。
ここでは,当社の橋梁技術の歴史を振り返りつつ,橋梁を次世代に使い継ぐ取組みについて紹介する。
アムステルダム――船とトラムの両立
早稲田大学 本庄高等学院 95号館
KVFS(KAJIMA Variant Flow System)
深川・夏の風物詩「水掛け祭り」


顔の見える「みんなの学校」づくり
学校づくりに求められるのは,伝統や特長を生かした顔をつくり出すことや,地域と共生してまちの顔となることであり,そしてそれを使う生徒たちの喜ぶ顔でもある。
今月の特集は,そうした学校づくりを担う鹿島の,教育環境を創造するさまざまなシーンを紹介する。
震災復興事業の遺産――隅田川の橋
川原樋川赤谷(かわらびがわあかだに)地区河道閉塞緊急対策工事
三河の伝統手筒花火


ワーカーの感性を触発する
オフィス・デザイン
オフィスビルにおける最も大切な評価基準は,
ワーカーの満足度である。
“ここで働く優越感” “様々な刺激からたかまる知的好奇心”
“守られているという安心感” “自然環境とまじわる優しさ”——
価値あるオフィスビルを創出するために,
当社はワーカーの感性を触発する多彩なシーンをデザインしている。
デマンドレスポンス
多彩な色と形式――ロンドン・テムズ川の橋
亀田病院 新本館
ハーレーの鉦が鳴ると梅雨が明ける


新・日本ダム紀行
21世紀は「水の世紀」といわれて久しい。
世界各地で洪水,干ばつ,水質汚染など水環境にまつわる問題が尽きない。一方で人口増加による飲料,食料,水力発電などの水資源確保の重要性は増大している。わが国は,降水量では世界平均の2倍強だが,水を資源として利用できる量は一人当たりで3分の1程度にとどまる。狭い国土に急峻な山地がひしめく地形では,貯水量が限られるためだ。
そのような国土で水を確保するために,営々と築かれてきたダムは合わせて約3,000基を数える。洪水調節をはじめかんがい,水道用水,発電などダムが担う役割は多岐にわたる。
当社は1920年代から時代の要請に応えてさまざまなダムを,国内はもとより海外でも建設してきた。いわばダムの近代化とともに歩んでいる。
この特集では,当社が関わるダムの現場ルポと識者の座談を通じ,「これからの社会におけるダムとは何か」を考える。
アンコール王朝を支えた石橋
京都市立病院整備運営事業(PFI事業)
いきものにぎわうまち
勝利への大合唱


住まい続けるために
これからの集合住宅
衣食住という我々の生活の根幹をなす住宅は,風土にあわせ,様々な居住形態に発展してきた。現在,特に人口が集中した都市部では,土地を有効活用したマンションの存在が欠かせない。その数は年々増え続け,現在では,全国のマンションストック戸数は500万戸を超え,居住人口は国民の1割以上にあたる1,400万人にも及ぶ。
そうした状況のなか,東日本大震災を経て,住まいへの安全・安心に関心が寄せられている。また老朽化マンションの建替えへの需要も高まってきた。今号では,当社が携わるプロジェクトを事例に,マンションの今後のあり方を探っていく。
マンハッタン -- 栄光の吊橋群
溶接会館
CO2-SUICOM( スイコム)
「熱の湯」に響く草津節


AKASAKA K-TOWER
「AKASAKA K-TOWER」誕生――
それは,企画から開発,設計,施工まで当社の総合力で創り上げた,
鹿島ブランドの超高層複合タワーである。
橋で巡るヴェネツィア
北陸新幹線、富山駅高架橋
函館のガンガン寺


都市と鉄道の昨日,今日,そして明日
3,000万人を超える圏域人口を抱える東京─。
グローバルな経済成長を支えるために,快適かつ安全でより強固な都市基盤の構築が進められている。成熟社会に向かう中で,省エネルギーやCO2 削減といった環境配慮の観点からも,都市における鉄道中心の公共交通機能の重要性が再認識されている。
早くから鉄道のネットワークが発達した首都圏では,さらなる利便性の向上に向けて,鉄道や駅などの「再生」の流れが加速している。列車の運行を止めずに,自動車・歩行者の流れが滞ることなく施設を着実に更新していく難工事の数々。
この特集では,当社が施工する鉄道工事をリポートしながら,鉄道と都市の関わりを探る。
風雨橋が語る中国トン族の村
中野セントラルパークサウス
まわり窯のレシピ
春節 人の賑わい


復興の一翼を担って
「あの日」から一年
誰しもが忘れえぬ日になった。2011年3月11日,東日本大震災は,かつてない激甚な被害を日本にもたらした。メディアは,沿岸部の被災地を「壊滅」という衝撃的な言葉で伝え,福島第一原子力発電所では事故が発生した。震災は,これまでの日常を一変させた。
「あの日」から一年——
広域に及ぶ被害に,復興への道のりは長く遠い。だが着実に,その歩みが始まっている。当社は,発災時から復旧活動に従事してきた。応急復旧工事から本格復旧工事,がれきの処理に福島第一原子力発電所への対応。現在も多くの社員が奮闘を続ける。その根底にあるのは,建設業の一員として,国土を守る責務を果たし,復興の一翼を担っていくという使命感。
今月の特集では,当社が取り組むプロジェクトを通じ,復興に向けて尽力する人々の姿を伝える。
支援と復興のソーシャルデザイン
東京駅丸の内駅舎保存・復原工事
小松製作所 大阪工場 大阪テクニカルセンタ


リスクに強い次世代工場
電子デバイス生産施設の先端建設技術
スマートフォンやタブレットPCといった市場を牽引するモバイル端末だけでなく,デジタル家電やヘルスケア,自動車など個人ユースから,交通,医療,通信,インフラなど社会システムにいたるまで,電子デバイスは身近な社会生活を支えるツールであり,日々技術革新が進められている。
これらが生まれる電子デバイス生産施設には,より高度で精密な生産環境が不可欠で,いまや環境配慮や多様なリスクへの対応も重要視されている。
今月の特集では,トータルな視点と技術が求められる電子デバイス生産施設に焦点をあて,“次世代工場”における,鹿島の先端建設技術を紹介する。
コミュニティを結束させる麦わら住宅(アメリカ)
BIM
「西大寺裸祭り」春呼ぶ男たちの声が轟く


輝ける都市, シンガポールとともに
東南アジアの金融センターとして成長著しいシンガポール─。
東西の海上貿易の要衝として栄えた歴史をもつ島国は,わずか東京23区ほどの広さに約520万人が生活する。
世界経済が激変する環境下でもしなやかに絶えず変化し,政府による各種インセンティブ制度が民間投資を強力に後押しする。当社は半世紀以上にわたりこの地で建設事業に関わり,この国の発展に寄与してきた。近年では開発事業の貢献も目覚ましい。グローバルな経済成長をけん引する都市国家シンガポールにおける,当社グループの活躍をリポートする。